牛の鈴音


よぼよぼの牛とよぼよぼのおじいさんの毎日を映したドキュメンタリー。アメリカの牛肉輸入自由化反対のプラカードを掲げたデモ隊の前を、老いぼれた牛が引くリヤカーに乗ったおじいさんおばあさんが通るけど、そこには社会的なメッセージはたぶんない。子どもの時の鍼治療の失敗で不自由になった足で、杖にしがみつくようにして立ってるのもせいいっぱいなのに、畑を耕し種をまき草を取り、牛の草を刈って背負って、働くのを止めようとしないおじいさんと、よぼよぼなのにリヤカーを装着されてちりんちりんと鈴を鳴らしながら、牛歩そのもののスピードで進む牛。動物愛護とか、ナチュラルでロハスな生活とかしゃらくせぇと思わされる映画だった。