トウキョウソナタ(008)

監督:黒沢清
出演:香川照之/小泉今日子/小柳友/井川遥/津田寛治/児島一哉/役所広司
佐々木家はトウキョウに暮らす一見ごく普通の4人家族。平凡なサラリーマンの父・竜平は、家長としての自負を持ち、家族のために懸命に働いてきた。ところが、ある日リストラであっさり会社をクビになってしまう。その事実を家族に伝えられず、毎朝スーツで家を出ては、公園などで時間をつぶす竜平。母・恵は、せっかくドーナツを作っても誰にも見向きもされないなど、やり場のない不満と虚無感を募らせる。一方子どもたちも、大学生の長男・貴は、突然アメリカ軍への入隊を志願し、小学生の次男・健二は家族に内緒でピアノ教室へ通い続けていた。すっかり家庭崩壊への道を突き進む佐々木家だったが…。allcinemaより

役所広司演じる泥棒が出てくるまでは面白かった。そのあとのリアリティのなさはあまりにも酷くないか?まるでその部分だけ全く違う映画になっている。日本映画専門チャンネルで監督自身が「そこから少し違うドラマが始まるように作った」と言っていたから、狙ってのことか。それが監督のカラーだというならしょうがないわね。
しかし、俳優陣はみんな上手いし安定している。アンジャッシュ児島の空恐ろしいくらい冷酷で愛情のかけらもない教師っぷりは、あまりにもはまり役だった。
家族4人で食卓を囲むシーンで、父親が「いただきます」を言うまでみんな箸を付けないという家族のルールについても、「『家族なんて…けっ!』と思っていても、そこから逃れられない縛りというものを描きたかった」という監督。
そこで思い出したのが、我が家の長女。子どもたちが小さい頃、放っておくと何個でもアイスクリームを食べてしまうために「アイスは一日一個」という決まりを作って守らせていた。24歳を過ぎた長女が、今でもその呪縛から逃れられずに2個目のアイスを食べるときに、罪悪感を感じると言っていて、びっくりした。
そんなことなら、部屋を散らかすと片付けずにはいられなくなるとか、台所に汚れた食器があるといても立っても居られないとか、もっと有用な呪縛を植え付けておくんだったなぁ。