イントゥ・ザ・ワイルド(060)ネタバレあり

監督:ショーン・ペン
出演:エミール・ハーシュ/マーシャ・ゲイ・ハーデン/ウイリアム・ハート
若さゆえの生真面目さで自らの心と向き合い、過酷なアラスカの大自然に立ち向かっていった一人の青年の姿を追ったジョン・クラカワーのベストセラー・ノンフィクション『荒野へ』を、オスカー俳優ショーン・ペンがメガフォンをとり映画化。恵まれた境遇にありながらも繊細な感受性ゆえに満たされずにいた青年が、突然すべてを捨て、ヒッチハイクでアメリカを縦断しながら様々な人々との出会いを経て、最後は徒歩でアラスカの荒野へと分け入り、その4ヵ月後に餓死した死体となって発見されるまでの心の軌跡を静かに見つめていく。allcinemaより

世の中のいろんなこと(不仲な両親、自分の出生の秘密、物質至上主義の社会など)と折り合いをつけて生きていくことができない、繊細でまじめで不器用な若者の旅のお話。
アラスカで小動物を狩りし食べられる植物を採取して命をつないでいた主人公が、初めてヘラジカという大物を射止めて捌く場面(特撮とかフェイクじゃなく、画面で見る限り本物だと思われる)の迫力はすさまじかった。巨大なヘラジカをナイフ一本でどうにか枝肉にしたものの、すぐにおびただしいハエがたかり、必死に追い払うもしっかりと卵を産み付けられ、ダメになって廃棄した肉をオオカミや鷲がやってきてきっちりと食べていくのを目の当たりにし、野生の大きさと自分の無力さを感じて自己嫌悪に陥る主人公。それと対極的に描かれている、現金を稼ぐために都会のファストフードで働くシーンでの、食べ残したポテトフライを無造作にゴミ箱に投げ捨てる場面とともに、非常に印象的なエピソードだった。
最後の最後に「HAPPINESS ONLY REAL WHEN SHARED」と気が付くけど、革職人のおじいさんと別れるときに気づいていれば…とつい思っちゃう。
主役のエミール・ハーシュは何Kgくらい体重を落としたんだろうか。頬はこけて目は落ちくぼみがりっがりに痩せてて、本当に餓死寸前みたいだった。すごいプロ根性だなぁ。