ポーラX(020)

ポーラX [DVD]

ポーラX [DVD]

ポンヌフの恋人』の鬼才レオス・カラックスが、発表当時“狂気の書”と評されたハーマン・メルヴィルの『ピエール』を映画化。姉と弟かも知れぬ男女が、運命の奔流に溺れてゆく様を綴る。濃密でエモーショナルな映像と音。そして破滅へと疾走する2人を見つめる仮借ない視線はカラックスならではの味わい。森に囲まれたノルマンディの城館で母と暮らす、仮面小説家のピエール。婚約者リュシーとの結婚も間近に控えたある日、彼は自分の姉だと名乗る黒髪の女と出会う...。allcinemaより

映画がどの程度原作に沿っているのかはわからないけれど、それにしても↑の引用にあるとおり原作が“狂気の書”と評されたのもうなずける。
裕福な家に生まれて素敵な婚約者もいて幸せに暮らしているのに、なぜわざわざ破滅への道を進むのか、ピエール君の気持ちは全く理解できないけれど、すごく惹きつけられる映画だった。
134分という長尺ながら途中で飽きることもなく、“黒髪の女”と一緒にトンネル暮らしをしていたおばさんと子どもの関係や、主人公たちが住みつく工場や変なロックのようなクラシックのようなバンドとその指揮者とか、全く不親切で説明ゼロの登場人物たちとストーリー展開なのに、そこでつまづかずに見られたのがよく考えたら不思議。さすが鬼才。