ガープの世界

ガープの世界 [DVD]

ガープの世界 [DVD]

20年くらい前に初めて見て以来、何度見たかわからないくらい繰り返し見てる大好きな映画。Amazonで690円だったので迷わず購入しました。生と死という重いテーマが根底にあって、登場人物もエピソードもかなりグロテスクで悲惨なのにどこかユーモアラスで、しかしラストシーンでは号泣。
母親ジェニー・フィールズがガープを身ごもった手法というのが、すごい。今みたいに精子バンクとかない時代だものね。肉欲なしで妊娠するには、こういう方法を取るのか…。
「性の容疑者」という自伝を書き、フェミニズム運動の象徴のような存在になったジェニーが、女性たちの駆け込み寺のような施設を開設する。そこには、元売春婦や男性の暴力から逃れてきた女性や性転換手術をした元フットボール選手といった、性が原因で心や体に傷を負った人たちが共同で生活していた。そんな中に、口をきけない女性が何人かいた。彼女たちは、エレン・ジェームスという11歳の女の子をレイプした犯人が口封じのために舌を切り落としたという事件に抗議して、自らの舌を切り落としてしまうという「エレン・ジェームス」の女性たちなのだ。(物語の最後近くに、とても感動的な方法で成人したエレン・ジェームス本人が出てくる。)ガープは「自分の体を傷つけるなんてやりすぎだ。男はペニスを切り取るのか?」と激しい嫌悪感を示す。そしてこの言葉はこのあと起こる、妻ヘレンの不倫の悲惨な結末を予言していたかのよう…駐車中の車の中で、別れる前に最後の『何か』をしていたヘレンと不倫相手ミルトン。そこにガープの車がつっこむという事故で、ミルトンはヘレンにペニスをかみ切られ、次男ウォルトは死亡し、長男ダンカンは眼球を失ってしまう。祖母ジェニーに季節ごとにいろんな義眼を買ってあげると言われたダンカンが、「クリスマスには中で吹雪が舞うガラス玉がいいな。首をこう動かすと目の中で吹雪が舞うの」と言うシーンが突き抜けてて好き。
細かく好きな場面をピックアップしていくときりがないけれど、とにかくすごい映画です!