ゴーイングマイホーム

何度も感想を書こうとPCに向かうも、書いては消し書いては消し…で最終回から1週間以上経ってしまった。好きすぎても書けないものだなぁ…。
ドキドキハラハラ先の展開が気になるドラマも好きだけど、ごく普通の人たちの日常のちょっとした出来事を丁寧に描いているドラマ(一連の向田邦子ドラマや『すいか』とか)は、やっぱり好きだなぁ。
殺人事件や壮大な陰謀や波瀾万丈な主人公の人生を描くだけがドラマじゃないのよ。一見、退屈で平板な日常にこそ、興味深くて普遍的なドラマがあるのですよ。そしてそれを観てる人の心に響く作品にするには、かなり高度で綿密な技術と、さらには人生観みたいな製作サイドの芯みたいなものが必要なんじゃないかな…と思ったりします。
そういうテクニック面は当然だけど、私はなによりも「歩いても歩いても」を見た時にも感じたけれど、是枝監督の「家族」の描き方が文句なく好きだ!とこのドラマで確信しました。
夫婦や親子の距離感が、決して冷たく突き放してはいないけど、べったり依存してるわけでもない、親子であっても他人だし、ましてや夫婦が一心同体なんかじゃない、この絶妙な空気感が理屈抜きで私の肌に合ってる。

最終話を見おわったあとで録画しておいた1話を改めて観ると、うむむ。何気ないシーンやセリフは伏線だらけだった。めぐみちゃんの机も、バカリズムの娘も、札幌オリンピックでの笠谷のジャンプを真似する良多も、最終回の「もっといろいろ話ときゃよかった」も、ちゃんと1話に種がまかれていたんだね。

ヤホーのみんなの感想では☆5が5割を超えているものの2割近くが☆1という評価で、好き嫌いがきっぱり分かれてるようだけど、まぁねー、このドラマに限らず万人に大絶賛される作品など存在しないので、しょうがないと思います。ドラマだけじゃなく小説でも映画でも、いくら面白さを力説したところで、それをつまんないと感じる人には伝わらないし、わかってもらえないもの。逆にみんなが面白いと大絶賛してても、わたしはそうは思えないものも山ほどあるし、そこは好みの問題で「このドラマの良さをわからない人は見る目がない」などと批判する次元の話じゃないですし。
でも!視聴率が低いことをことさら強調して報道されちゃうことには、非常にもやもやしてしまいます。視聴率と作品の善し悪しはイコールじゃないって、テレビを作ってる人たちはそろそろはっきり認識してもいいんじゃないのか?や、視聴率を軽視しろというのではなく、それに振り回された結果、こういう上質なドラマが作られなくなったら最悪だなぁ…と、一視聴者は危惧するわけです。
しかし、最終回終了後にこんな嬉しいニュースも。ほら、だから言ったでしょ!(鼻息)

阿部寛主演の連続ドラマ「ゴーイング マイ ホーム」(フジテレビ系=火曜後10・00)が、18日の最終回の放送を前にした17日、来年1月23日からオランダで開催されるロッテルダム国際映画祭に正式招待されることになった。欧米の国際映画祭で、日本の連続ドラマが全話上映されるのは異例だ。(読売新聞サイトより)

なにはともあれ、DVD-BOXを買ってときどき見返したいドラマですな。