鬼畜の家

鬼畜の家 (a rose city fukuyama)

鬼畜の家 (a rose city fukuyama)

「おとうさんはおかあさんが殺しました。おねえさんもおかあさんが殺しました。おにいさんはおかあさんと死にました。わたしはおかあさんに殺されるところでした……」 保険金目当てで家族に手をかけてゆく母親。その母親も自動車もろとも夜の海に沈み、末娘だけが生き残ることになった。 母親による巧妙な殺人計画、娘への殺人教唆、資産の収奪…… 信じがたい「鬼畜の家」の実体が、娘の口から明らかにされてゆく。 Amazonより

北川家で最後に生き残った娘の由紀名に、母と兄が自殺していないことを明らかにして欲しいと依頼された探偵が事件のことを調べていくうちに、徐々に明らかになっていく北川家のおぞましい過去…。当時の関係者の証言を中心に進んでいくストーリーは、これでもか!というくらいどろどろしててかなりグロいエピソードの連続。読みながらいや〜な気分になるのだが、ちょっとワイドショー的なのぞき見趣味に通ずる、下衆な好奇心に訴えかけてくる感じで、読み出したら止まらなくなってしまう。
ミステリーとしての仕掛けも上手くて、なるほどそういうことか!と、してやられた感じ。作者は弁護士を引退した60歳の新人だそうで、法の抜け穴をくぐって養子が遺産相続する…など、作品にも法律の知識が随所に生きていた。