ヴィヨンの妻

ヴィヨンの妻 (新潮文庫)

ヴィヨンの妻 (新潮文庫)

この文庫本には「親友交歓」「トカトントン」「父」「母」「ヴィヨンの妻」「おさん」「家庭の幸福」「桜桃」の8編が収められている。
共通するのは、登場人物が家庭人に全く向いていない男だということ。妻と子どもを全く顧みず、ようやく入った原稿料を引っ掴んで酒と女に溺れて何日も家を空ける男。悪いことをしているという自覚があるだけに、たちが悪い。
全編絶望的な話ばかりなのに、なぜかすいすいと読み進められるのが太宰の太宰たるゆえんなのかな。