ギルバート・グレイプ(049)

どこか「ラスト・ショー」を思わせる、アメリカ中西部の田舎町。そこのくすぶった生活を描き、観る者にその町を訪れた気分にさせる。警鐘塔に登るのがクセの知的障害を持つ少年、家から出られないほど肥えた女、大スーパーマーケットの前でひっそりと商いをするよろず屋、突如出現したハンバーガーチェーン店……、など、象徴的な要素をうまく使って表現している。しがないよろず屋の店員J・デップは、トレーラー・ハウスで祖母と旅を続ける少女(J・ルイス)の出現によって、袋小路のような自己の生活を見つめ直していく。デップをはじめ、演者みんなが素晴らしく、特に弟役のL・ディカプリオは傑出した名演を見せる。(allcinemaより)

この作品が生涯で最高の演技じゃないかと思うくらいディカプリオ演じるアーニーが素晴らしい。そして、何度見てもギルバートが抱える閉塞感が胸に刺さってくる。田舎町のスーパーで働きながら、超肥満で居間のソファに座ったきりの母親、反抗的な妹、障害をもつ弟という家族の大黒柱とならざるを得ない気持ち、たびたびトラブルを起こす弟を世間から守るのにも疲れて、逃げ出したくなるのは痛々しくて悲しい。