快適生活研究

快適生活研究

好きな小説家NO.1の金井美恵子の最新作。過去の小説の登場人物たちが勢揃いしたうえに、さらに強烈な新キャラクターの登場で、食あたりしそうなくらい濃い小説です。なかでも、アキコさんという独身老女が友だちに宛てた手紙という形の章は、まるで自分がその手紙をもらったかのように嫌な気分にさせられます。まず前置きが長くてなかなか本題に入らないし、そして本人はとても他人に気を使っているつもりでいるけれど実はかなり失礼で人を見下していて、遠回しに自慢話を繰り広げ…という内容の手紙がくどくどと続くのですが、こういうおばさんいるいる!と心の底から共感して読みました。友だちやクライアントに「ゆとり通信」というフリーペーパーを配る建築家のおじさんも、うざいわー。ひと癖もふた癖もある人たちばかり出てくるけれど、非常に面白くて楽しい。何度も読み返して楽しみたい小説です。